コンコンッ!


 コンコンッ!





 「カイ!」


 私は、カイの大好物だというフルーツカレーをトレーにのせて、ドアをノックした。


 中からは返事はなく、私はドアをそっと開けた。




 カーテンを閉め切った薄暗い部屋の中で、カイはベッドに横になっていた。




 私は、テーブルの上にトレーを置くと、ゆっくりとカイに近づいた。


 「カイ、寝てるの?」





 返ってきた答えは、意外なものだった。

 「…初樹、おまえの名字(みょうじ)なに?」




 えっ?




 カイは横たわったまま、ゆっくりと私に視線を向ける。