それは、5年前の春。



 いつものように、学校から帰ってきた後、チョコと散歩しに土手に行ったときのことだった。





 この青々とした草むらの中で、気持ち良さそうに眠っている男の人がいて、警戒心の強いチョコが自分から近づき、その人の顔をなめ始めたのだ。


 私は目を丸くして、チョコのその行動を見ていた。




 しばらくして、その人は悲鳴に近いくらいの声を上げて飛び起きた。


 私は、その人の驚きかたが、あまりにも面白くて、おなかをかかえて笑っちゃったんだ。






 それが、私とカイ…、バイクのお兄ちゃんとの出会いだった。