「あっ、まってよ! だから、ゴメンって言ってるでしょ」
と、私はそう言うと、カイを追いかけようと、足を一歩踏み出したときだった。
ドクンッと、突然、鼓動が高鳴り、頭の中に次々と映像が流れ込んできた。
それは、頭が割れるんではないかと思うくらい、急速に記憶が駆け巡る。
私は頭を抱えて、その場にうずくまった。
「…初樹? 初樹っ!!」
私の異変に気づいたカイが、私のもとへ駆け寄ってきた。
「どうした?」
と、カイはそう言うと、しゃがんで私の顔をのぞき込んだ。
…思い出した!!
バイクのお兄ちゃんのことを。
私はゆっくりと顔を上げて、カイを見つめた。