「あ…、あれね」
と、私はここで区切ると、ちらりとカイを見た。
カイは、真剣なまなざしで私を見つめていた。
本当のことを言うべき?
「あれは、その…、そう! こわい夢を見て…。なんか心配かけさせちゃったみたいで、ゴメンゴメン」
と、私はそう言うと、あははと空笑(そらわら)いしながら、カイの背中をたたいた。
カイの表情が、見る間に険しくなると、
「はっ!? 夢っ!? なんだよ、心配して損したっ!!」
と言うと、ずかずかと土手を駆け上って行った。
私は、カイの背中を見つめながら、心の中でつぶやいた。
カイ、ごめん。
それと、心配してくれてありがとう。