私は、きのうと同じように、5年前の自分とパパを見送った。
11歳の私は、カイに会えたことがうれしいのか、いつまでも大きく手を振っていた。
「まさか、同じ名前とはね」
と、カイがぼそっと言った。
なんだ。
バレてたわけじゃないんだ。
私は、ふたりが見えなくなるまで見送った。
今日の夕方。
あかね色に染まる空の下で…
私は、あの夢を思い出し、ぞくっとした。
運命のときが、刻々(こっこく)と迫っている!!
「初樹」
と、カイに突然呼ばれ、私はきょとんとした。
なに?
私はカイをじっと見つめ、次の言葉を待つ。