「初樹っ」
突然、パパに呼ばれ、私はまたもやドキッとした。
パパの言う《初樹》は私じゃないって、頭ではわかっているつもりなのに…
「初樹、そろそろ帰ろう。もうお昼の時間だよ」
と、パパは優しく言った。
お昼?
もうそんな時間なの?
11歳の私は、カイと私の顔を交互に見ると言った。
「え~、初樹、お兄ちゃんたちとまだ一緒にいたい…」
そうだよね。
バイクのお兄ちゃんとは、最近会ってないって、きのう言ってたし…
カイは、11歳の私の頭をなでると言った。
「夕方、また来るんだろ? お兄ちゃんたちも、また来るからさ」
すると、11歳の私の顔がぱっと明るくなった。
「うん、絶対だよ! 約束ねっ!!」