私は、こぶしをぎゅっと握りしめると、心の中で叫んだ。




 名無しさん!


 名無しさん!





 《なんだ?》

と、返事はすぐに返ってきた。





 名無しさん、私を5年後に戻して。





 《なぜだ? 運命の瞬間をまだ迎えてないんだぞ》




 運命の瞬間なんて、私には見届ける勇気なんかない。


 早く帰って、ママを祝福してあげたい!





 《クククッ。祝福だって? もう少し、5年前の世界を楽しめよ。おまえには、時間を与えてるんだからな》





 えっ?


 …時間?




 時間を与えてるって、どういうこと!?





 《クククッ!》

 名無しさんは不気味に笑う。