黙り込んだ私を見て、パパが口を開いた。

 「人は、いざとなると臆病になる。それは君だけじゃない。私もだ。…君のお母さんが、心から笑える相手なら、亡くなられた君のお父さんも、うれしいんじゃないのかな」






 私は、パパのその言葉を聞いた途端、あのとき、ママが頬を赤らめ、恥ずかしそうに笑みを浮かべていたのを思い出した。





 …心から笑える相手。


 ママにとっては、西園寺さんなんだ!




 心のどこかで、わかっていたはずなのに。


 改めて、自分の愚(おろ)かさを思い知った。






 それでも、やっぱり、パパが生きていたら…

 そう思う私は、間違っているのかな?







 「み、未来を変えようとする私は間違ってますかっ!?」

と、私は思わず口走ってしまった。




 気づいたときには遅かった。


 私は口を押さえて、パパを見た。






 パパは、ぱっと目を見開いて、しばらくの間、黙っていた。


 「…未来?」