私は大きく息をついてから、話をこう切り出した。
「ここ数日間、私のまわりで、いろんなことが起こって、いろんなことが変わって、私の頭の中は混乱してるんです」
パパは真剣な顔をして、私の話にじっと耳を傾けていてくれた。
「パパが死んで、今日でちょうど5年になるんです。おととい、ママから再婚すると言われ、相手の方に会いました。とても人柄の良さそうな人で、文句のつけようがありませんでした。…でも私、逃げ出しちゃったんです。いつか、ママにそんな人が現れるんじゃないかって、ずっとずっと思っていたのに。笑って祝福してあげようって、ずっと心に決めていたはずだったのに…。それが、できなかったんです」
ママには幸せになってもらいたい、そう思っているのに…
でも、西園寺さんを受け入れたら、パパが…
私の中で生きているパパが、どこかに行っちゃうんじゃないかって…
パパを忘れちゃうようで、
パパがかわいそうな感じがして…
それは、私のわがままなのだろうか。