11歳の私がトコトコと歩いてくると、目を丸くして言った。
「あっ、お姉ちゃん!」
私はにっこり笑うと言った。
「こんにちは、はっちゃん」
そして、またもや、ドキッとする質問を11歳の私がしたのだ。
「お姉ちゃんのおうちって、ここら辺なの?」
へっ!?
目が点になる、私。
「お、お友だちが…ここら辺で…」
と、今回もなんとかごまかした。
「へえ、そうなんだ」
と、納得しているような11歳の私。
そのとき、私を呼ぶ、パパの声が聞こえた。
「初樹」
一瞬、ドキッとして、思わず、《はい》と言ってしまうところだった。
でも、それは私を呼んだのではなく、11歳の私に呼んだものだった。