いったんは階段を降りていったものの、再び上がってきて、なにを言い出すかと思えば…


 『初樹ちゃん、今日は…、これからバイトがあって、帰ってくるのが2時過ぎになっちゃうけど、女同士で寝ましょ?』

と、にっこり笑う、ミナミさん。




 返答に困っているところに、カイが口をはさんだ。

 『こいつ、また泊めるの?』





 すると、ミナミさんが私をぎゅっと抱きしめると言った。

 『まったくカイは、まだお子ちゃまなんだから。いろいろと事情があるのよ。ね、初樹ちゃん?』





 ミナミさんは、私にやさしく微笑んでいた。





 私はなにも言わなかったのに…


 ミナミさんもなにも聞かなかったのに…







 ミナミさんは、きっと、私が家の前にいたときからわかっていたんだと思う。



 心になにかを抱えていて、行く宛もなく困っていた私に…







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