「さ、沙織ちゃん、まってよっ!!」



 私の耳に、カイの声が飛び込んできた。





 「さ、沙織ちゃん、誤解なんだってっ!!」

と、カイはドアノブに手をかける彼女の腕をつかむ。




 「もう、無理っ! 今度という今度は絶対に許せないっ!!」

と、彼女はそう言うと、カイの手を振り払った。





 「さ、沙織…」





 ガチャンッ!!!






 …うそ。


 このカップル、一体どうなっちゃうの?




 彼女、勘違いして、出ていっちゃったよ…





 カイは、ぼうっとドアの前で突っ立ったままだし…





 なんか声かけたほうがいいわけ?