「あっ、次は右!」 人込みをかき分けながら、猫に合わせて足どりを速める。 いつの間にか、人通りの激しい道に足を踏み入れていた。 前へ、前へと、前に進むたびに行き交う人と肩がぶつかる。 「すみません!」 謝りながらも、それでも猫を追う。 まるで、不思議の国のアリスが時計うさぎを追いかけるかのように。