ミナミさんが、求人票をペラペラとめくったときだった。
私の目に、見覚えのある名前が飛び込んできた。
「ああ、今回もダメかっ!」
と、ミナミさんはそう言うと、求人票を床に投げ捨てて、ソファーにふんぞり返った。
私は床に散らばった求人票をかき集め、その十数枚の中から、あの人の名前を探す。
ミナミさんは、私の尋常(じんじょう)ではないその行動を見て、目を丸くしていた。
「初樹ちゃん、どうしたの?」
私は、求人票にひたらすと目を通す。
「…あっ!」
手が震えた。
《採用担当、人事部 西園寺》
まさか、こんな形で西園寺さんの名前を目にするなんて…