パパの視線が、ゆっくりと私に向けられた。
「それにしても、チョコには驚かされたな。君の腕の中で、こんなに大人しくしてるとは」
パパに会えただけでもうれしいのに…
パパとまた、こうやって穏やかな時間を過ごすことができたなんて…
…パパ。
ほんとは《パパ》って言って、抱きつきたい。
パパが、チョコを見て笑っていた。
パパは笑うときに、えくぼができる。
私は、そんなパパの笑顔が大好きだった。
「お姉ちゃん、また会える?」
えっ?
11歳の私がにっこり笑っていた。
「うん!」
と、私はそう言うと、にっこりと笑った。