そういえば、ここ…





 私は、自分の腕の中で、大人しくしているチョコを見つめた。




 ここは、私とチョコが出会った場所でもあるんだ。







 小学校にあがってすぐだった。


 この土手の草むらの中に段ボールが置いてあって、そこから可愛らしい顔をひょっこりと出していたのは。







 「初樹っ」



 突然、パパに呼ばれて、私はドキッとした。



 でも、パパの言う《初樹》は、5年後の私ではないことは明らかだった。