チョコの散歩に連れていくのは、私とパパだった。




 学校から帰ってくると、いつも玄関の前でチョコが座って待っていた。


 土手沿いの道を散歩したっけ?





 11歳の私が、にこやかにパパを見ていた。





 そういえば、私にとって、土日は特別な日だった。


 だって、パパが休みだったから。






 私ははっとして、リビングの窓を見た。




 ママが、にこやかに見ていた。







 …そう。


 チョコの散歩に行くとき、ママはいつものようにリビングの窓から、にこやかにのぞいていた。






 ママの顔を見たら、急に胸がぎゅっと締め付けられた。






 もしかして、ママの笑顔を奪ったのは…






 私?