ツルルルル────…





 『…もしもし─…』

 さっきと同じ声だった。




 私は息をのんだ。




 『もしもし、美濃(みの)ですが───…』




 私が、聞き間違えるはずがなかった。





 私は耳元から受話器をゆっくりと離すと、受話器を置いた。




 カイ似の彼は、目をぱちくりさせると、

 「おい、どうしたんだよ?」

と言うと、大きく目を見開いて私を見た。





 私はゆっくりとその場に座り込み、放心状態のように、ぼんやりとしたまま、その場から動けなかった。






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