なに、今の…
心臓が止まるかと思った。
「おい、どうした?」
カイ似の彼が、リビングに入ってきた。
私は、ぱっと彼を見ると、頭を振った。
「ううん。ごめん、なんでもないの」
そう、なんでもない。
きっと、番号を打ち間違えただけよ。
彼は心配そうに、私の顔をじっと見つめると、
「なんでもないって、顔色が悪いぞ」
と言うと、ゆっくりと近づいてきた。
「ほんと、なんでもないってば!」
と、私はむきになって、強い口調で言ってしまった。
しまった…、と思ったけど、後悔するのは遅かった。
彼は、不審そうな眼差しで私を見ると、ソファーに腰をかけた。
そして、足を組むと、ちらりと私を見て言った。
「じゃ、続きどうぞ?」