私は、ゆっくりと固定電話に手を伸ばす。
ママに謝ろう。
…きのうは、ごめんなさいって。
受話器をつかんだ、そのときだった。
ドタバタと、階段を駆け降りてくる音が聞こえたのは。
私は受話器をぱっと離した。
そして、リビングのドアが勢いよく開くと、ずかずかとカイ似の男が入ってきた。
ベージュのサファリシャツにデニムパンツ。
さっきまで、白無地のTシャツだったのに。
彼は、私に視線を向けると、こう言った。
「じゃ、そろそろ行こうか?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…