カイは、ビシッと指をさすと言った。

 「あんたは、あのあと気を失うし、置いて帰るわけにもいかないし、どこの誰かもわからない奴を、俺はおぶって家に連れて帰ったんだよ。周りの奴が俺をどんな目で見ていたか、あんた想像できる?」





 ぽかんと、私は口を開ける。





 ちがう。


 こんなのカイじゃない。

 私の知ってるカイは、こんな嫌みな奴じゃない。





 私はむっとすると、

 「どうもありがとうございましたっ!!」

と、私はそう言うと、プイと横を向いた。






 なにが5年前よ。

 そんなのあり得ないわよ。





 ただの他人の空似(そらに)!



 他人の空似に決まってるじゃんっ!!





 よく考えたら、こんな顔、そこら辺にいっぱいいるし。






 ほんと、嫌みな奴っ!!






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