カイは、ビシッと指をさすと言った。
「あんたは、あのあと気を失うし、置いて帰るわけにもいかないし、どこの誰かもわからない奴を、俺はおぶって家に連れて帰ったんだよ。周りの奴が俺をどんな目で見ていたか、あんた想像できる?」
ぽかんと、私は口を開ける。
ちがう。
こんなのカイじゃない。
私の知ってるカイは、こんな嫌みな奴じゃない。
私はむっとすると、
「どうもありがとうございましたっ!!」
と、私はそう言うと、プイと横を向いた。
なにが5年前よ。
そんなのあり得ないわよ。
ただの他人の空似(そらに)!
他人の空似に決まってるじゃんっ!!
よく考えたら、こんな顔、そこら辺にいっぱいいるし。
ほんと、嫌みな奴っ!!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆