私は、ついさっきのことを、もう一度やり直している。




 スローモーションのように、私の前をたくさんの人が行き来し、いろんな人の会話が私の耳に入ってくる。




 横断歩道の脇に、供えられている花束に目が留まった。



 …カイ。




 カイの顔が、一瞬頭をよぎる。



 カイが、言ってくれた言葉を思い出した。


 ───初樹、今度は精一杯生きろ───





 うん。


 ありがとう、カイ。





 私はぱっと、横断歩道を見ると、名無しさんが横断歩道を渡りはじめているところだった。




 行かなきゃっ!!