ボクは見ていた
ただ 見ていた
漂う雲の欠片が
うっすらと ゆったりと
空に消えてゆくのを
溢れ出た雫が
じわりと ゆるりと
染み込んでゆくのを
ボクは待っていた
ただ 待っていた
滲んだ夕日が
燃えながら
海に溶け落ちてゆくのを
輝く星が
儚くも
砕けて流れてゆくのを
いずれ全ては形を変えて
やがては皆姿を消して
そうして逝くものだと
未来永劫
続くものはないのだと
ボクは願っていた
ただ 願っていた
破壊された心が
少しでも 確実に
一歩を踏み出せることを
嗄れた声が
僅かでも 耳元に
歌と想いを遺せるように
ボクはただ
《ただおもう》