「高辻さん。すみませんこれ会計の宮内からの届け物です!」
ぱっと見たその子は、記憶力のいい俺でも分からない社員だった。
俺は、違う部でもちゃんと男女問わず名前を覚えるのだが…
ましてや会計にこんな子いたっけ?
俺がそう思うのもそうだろう…総務の社員みんな誰か分からないみたいだし…
ってか!由梨は自分で来いよな…全く…
しょうがない…失礼だけど、名前を聞くしかないか…
「ごめん、名前なんて言うのか教えてくれる?」
総務の奴はみんな《うんうん》と頷いている。
だが、返ってきた答えに、俺は腰を抜かしそうになった…
「会計の岡村杏です」
……
彼女はとても照れくさそうに頬を染めていた。