「はい」

玄関が開いて僕は焦って絞まりのない顔を戻した。妄想中だった僕の顔は気持ちが悪いほど緩みっぱなしだったからだ。

「あっ…早かったですか?」

「いえ、もうすぐできるんで、上がって下さい」



招き入れられるままに、僕は凜ちゃんの部屋に一歩踏み入れた。






―ふわぁ…




体をかすめる風に乗って、凜ちゃんの髪の毛がふわっと揺れる。シャンプーの匂いなのか、花のようないい香りが流れてきた。


部屋に入っても、部屋全体がいい香りに包まれていた。