「すいません、こいつ調子がいいから、変な事ばっか聞いちゃって……携帯ありがとうございました、じゃあ……」

「彼氏いますかーぁ？」



部屋の奥から僕の声を遮るようにワッタが急に話しかけた。




「ワッタ！！！」




眉を下げながら、ゆっくり倉本さんを見ると「クスッ」と笑って、手で口を押さえていた。




「すいません…」



「いえ、大丈夫ですよ！彼氏はいません。好きな人はいますけどね。」




「彼氏いないって〜♪」と上機嫌で部屋に戻るブチを尻目に、僕は一瞬ガッカリした。別に何があるわけじゃないのに、この人との淡い未来を一瞬妄想してしまっていたから。



まぁ、僕には縁のない美人だったしね、これが普通か。