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去年の夏の、フォースター航空78便の墜落事故。

あの日、空港に着いたあたしは、パニックだった。


どこに行って、誰に何を聞けばいいのかも分からない。


手近にいた空港職員をつかまえて墜落事故のことを聞いても、墜落は事実だ、ということしか分からなくて。


空港のロビーに座り込んで泣きじゃくるあたしに、周囲の人は奇異の目を向けていたようだけど、そんなことを気にする余裕すらなかった。

世界の終わりのような絶望感。


だけど――



「セーラっ!」



そのとき、あたしの名を呼び、あたしに向かってくる人がいて。



「……カイト先輩!?」



それは、あたしが誰よりも会いたいと願うその人だったわけで――