夜になり観測が始まると、あたしはみんなから離れて、一人で歩き出した。



あの夏――

カイト先輩と二人で夜空を見上げた場所へと移動して、腰をおろす。


あの時、先輩が二度目の告白をしてくれて……

本当に嬉しかったなぁ……


瞳を閉じれば、昨日のことのように思い出せる。

カイト先輩の笑顔も。

カイト先輩のぬくもりも。



――あたしには、生涯忘れたくない記憶がある。

それは、あの人と過ごしてきた日々のこと。

きらめく星空の下で、愛を誓った日々のこと。



「……カイト先輩、大好き」



小さくつぶやいたとき。



「俺も好きだよ」



後ろから、そんな声が聞こえた。


振り向いたあたしに微笑みかけてきたのは――

誰より愛しい、その人。