「次は、お化け屋敷に行きましょうよ」



ふいに、カヨがそんな提案をした。



「俺はやめとく」



五味先生は首を振る。



「いいじゃないですか、行きましょうよ」



「そうだよ、おもしろそうじゃないか」



あたしとカイト先輩がカヨに同意すると、五味先生は渋々ついて来たけど……


2人ずつに分かれてお化け屋敷に入ろうとしたのに、「いいよ、4人で」と言って無理やり4人で入ろうとする。

あたしは、そんな五味先生に、こそっり耳打ちをした。



「カイト先輩と二人きりで入りたいんだから、邪魔しないで下さいよ」



「……あぁ、そうかよ」




――文化祭のお化け屋敷なんて子供だましかと思っていたのに、それは意外と本格的で。

元来怖がりのあたしは、ちょっとビクビクだったけど、カイト先輩が「怖くないよ」と手をつないでくれたから。

その手にすがってついていく。


途中、目をつぶってしまったけれど、先輩の手を握っていれば大丈夫。


先輩の手は、いつもあたしを、導いてくれるのだから。