カイト先輩とユキコ先輩が付き合っていた、というのは――
ダイスケがユキコ先輩から聞いたとおり、事実だった。
「去年の夏から秋までの、短い間だったけど」
「別れの理由……なんて聞いたらダメですか?」
「いや、いいよ。
その頃、ユキも俺も、ちょうど恋人と別れたばかりでさ。
傷の舐めあいみたいな形で始まった関係だったんた。
だから、お互いの傷が癒えたころ……
どちらともなく、別れようっていう話になって」
別れてからは、元どおり「先輩・後輩」の関係に戻って、部活でもうまくやってきたという二人。
「だから、ダイスケがユキと付き合い始めたときは、俺としてはちょっと複雑な気持ちだったんだ」
「複雑?」
カイト先輩はあたしに、少し申し訳なさそうな顔をした。