「こんばんは〜」 「…はい、どちら様?」 声のトーンが落ちて怪訝そうな答えに戸惑いもせず笑顔を作る先輩。 「高瀬って言います、桃花さんを送って来ました」 「高瀬…さん?…あぁ!」 何かを思い出したように慌てて鍵を開け中から気まずそうに母さんが顔を出した。 「おかえり…わざわざすいません…」 「いいえ、じゃ、またバイトでね」 あたしの肩に軽く触れ母さんに会釈をして先輩は帰った。