美菜は、ベッドの上で底知れぬ不安を抱えたまま眠る羽目になってしまった。
候補生になったからといって、すぐ戦争に駆り出されるわけでもないだろうし、使い物になる頃にはきっと戦争も終わっている筈と、
電話で晴香を宥めた自分を思い出す。
あれは、自分に向けて言った言葉だった。
弘ならいざしらず、叶なんて、ちょこっとの丘陵ですら、へばっていたではないか。
美菜のお気に入りの場所を教えた時のことを思い出しながら、もし候補生になったとしても、あの叶が訓練へついていけるものか、と言い聞かせる。
その夜、美菜はベッドの中に小さくくるまり、
弘と晴香、そして叶のことを考えているうちに、
いつの間にか眠ってしまった。