美菜は一呼吸おいて、深呼吸をした。


晴香が自分以上にパニックになっているから、落ち着いていられるのかもしれないな、なんてことを考える余裕すらあった。


いや、余裕があったのではなく、頭が真っ白になって思考がクリアだっただけなのかもしれない。


ただそれでも、晴香に掛ける言葉は思い付かなかった。


大丈夫、とも安易に言えず、かといっていたずらに不安をあおるようなことも言えない。


しかしずっと黙っているわけにもいかない。


そんな美菜の口をついた言葉は『落ち着いて』だった。