美菜がベッドにうつ伏せになり考えごとをしていると、流行りの着メロが部屋いっぱいに広がった。
晴香からの着信だった。
『美菜っ……弘がっ……弘が……っ!!』
泣きわめくように不明瞭な言語を発する晴香をなだめながら、美菜は嫌な予感をヒシヒシと感じていた。
そしてそれは晴香の言葉で現実となり、美菜の思考をさらっていった。
『弘が……っ
親の承諾がっ貰えたって…、電話でっ……
どうしよう、美菜……私どうしよう……
叶もっ……行っちゃう……っ
行っちゃうよぉっっ』
晴香の悲痛な叫びに、美菜は自らの心臓が早鐘のごとく打ち鳴らしているのを感じながらも、その一方で自分がひどく落ち着いているのもまた感じていた。