「どうするって……そんなに長引かないよ……」
希望を込めて呟いたけれど、じっとりとした闇が侵食してしまう。
「そうかもしれない。でもそうじゃないかもしれない。
もし学生関係なく志願させられるようになんてなったら、早いうちから訓練をして鍛えていたほうが、彼らの為になるんじゃないか?」
「……でも、二人が行くのはイヤ」
その返事に、達也は「そうか」と言って、あとは美菜に何も言わなかった。
うすうす、美菜は気付いていた。
誰かは行かなければならない――
今この時も、戦っている人たちはいるのだから。
それでも、自分の周りにいる人が行くのは嫌だった。
願わくば、知らない人でありますように。
誰も傷付かないのが一番だとは思っていても。
海外の飛行機事故で、日本人が乗っているかいないかで、ニュースの注目度が違うように。
身近な人がその路線に乗っているかいないかで、身の入れ方が違うように。
知らない『誰か』でありますように――