ちゃんと私の話を聞いてた? と言わんばかりに、ちょっと皮肉をきかせて返す。


「戦争へ行くことになるかもしれないでしょ? って」


美菜には見えないとわかりながらも、達也は首を振った。


「そうじゃない。
このまま戦争が続けば、成人だ、未成年だ、なんて言っていられなくなる。
いつかは戦争へ行かなければならないかもしれない。
そのとき、どうする?」


達也の言葉に、美菜はピクリとも動けなかった。


「……あなた」


小さく達也をたしなめるような声がしたが、美菜には届かなかった。


じぃっとしたまま、美菜は達也の言葉を頭の中で反芻(ハンスウ)する。


そして、重たい口を開いた。