ずいぶん美菜が一方的に話していたが、夕暮れが迫ってきたことで、誰からというわけでもなく再び歩き始める。
シンと静まり返った中、さわさわと風の音だけが三人の耳に届いた。
「……また明日」
無言で分かれ道までさしかかり、美菜はまだ黙ったままの二人を見ることなく家へと急いだ。
彼らを背にしながら、必死で考えた。
──バカげてる……バカげてる。
心の中ではその言葉で溢れかえっていた。
仕掛けた国も。
人をかき集めようとしている国も。
弘も叶も。
みんなみんな、バカげてる。
勝手だ。みんな。
美菜は走り出した。
一刻も早く両親に話し、『あなたは間違ってない』と言って欲しかった。
止めたことを後悔はしていない。
しかし弘と叶の、二人の気持ちをキチンと理解しないまま行く手を阻んだかのようで、なんとなく胸に何かがつかえているような感じがした。