そのまま叶を見やり、美菜は「叶も」と続ける。


「叶のお父さんお母さんは今海外なんでしょ?
承諾を得ようがないよね」


弘も叶も言葉に詰まったのを見て、美菜は少しだけ安堵した。


この町よりも大切なのは弘や叶なのだから、彼らが戦地へ行こうとするのをどうしても止めたかった。


命より大切なものなんて、この世にはないのだから。


例え戦争で町が壊滅しても、人さえ居れば、何度だってやり直せる。


でも人が離れてしまったら、残された町は朽ちるだけだ。


弘には、卒業したら晴香と一緒に住む約束がある。


候補生になるよりも、そばで守ってあげるべきだ、と美菜は弘に説いた。


彼らの意識を変えることが出来たかはわからないが、美菜は精一杯訴えた。