黙りこくっていた弘が、大きく息を吐き出した。


「戦争へ行くかどうかはまだ決めていない。
だけど、候補生への申し込みはするつもりだ」


弘の言葉に、美菜はゴクリと唾を飲んだ。


「それ、晴香は……」


「まだ候補生の話が出る前に、『俺が二十歳だったらな』って言葉をもらしたことがあるから……」


弘は美菜からフイと視線をずらした。


何も言えないでいる美菜へ、というよりも、口にすることで意思をはっきりさせたいかのように、弘は言った。


「俺は、ただ突っ立っていたくないんだ。
この町を、晴香を、守りたいんだ……この手で」