「二人とも何考えてんのかわかんない。
候補生なんてダメだよ。
ね? 美菜もそう思うよね?」


うっすらと涙を浮かべている晴香に、美菜は頷くしかなかった。


そして晴香が自分を誘ったのは、一緒に反対して欲しいからなのだと悟る。


だが美菜の口からは、なんの気の利いた言葉も出てこなかった。


そもそも候補生に志願するとどうなるのかも良くわかっていないから、どう反対したらいいかわからない。


反対するべきなのだろうとは思う。


直接戦争に関わることではないかもしれないが、間接的だろうと遠巻きであろうと、関わるということが嫌だ。


だが晴香のように感情をぶつけるだけではきっと、弘と叶の耳には届かないだろう。


言葉を発するのに躊躇う美菜を、自分の考えで頭がいっぱいになっている晴香は、気付いていないようだった。


晴香は声を震わせ、ポツリと呟いた。


「何で……?」