放課後、美菜は晴香に誘われて、弘と叶を含めた四人で帰ることになった。


美菜の記憶では、四人で帰るのは初めてだ。


方向が同じだから一緒に帰ってもおかしくはないのだが、違和感がある。


校長の話が尾を引いているからだろう。


晴香はチラチラと弘を見ていたが、思いきったかのように口を開いた。


「弘。弘は申し込んだりしないよね?」


晴香の言葉に、弘は彼女に視線を合わせたものの、いつもの彼からは信じられないほどの素っ気なさで言った。


「さあ?」

「何? 『さあ?』って」


ピクリ、と晴香が肩を震わせる。


何か言いかけたが、弘が自分を見ていないことを知ると、晴香は縋るように叶を見た。


「叶、叶もよ。
申し込んだりしないわよね?」


叶は困ったように微笑んだ。