だから、本当は彼女なんて出来て欲しくない。

でも、もしかしたら彼女が出来てくれた方が諦められるのかなって思ったりもするんだ。

向かい側のショーウィンドーに写る私達を見てみた。


きっと傍から見たら、恋人同士に見えるんだろうな……


私は、こんな擬似カップルで満足なんだ。


優がクレープを持って来た。
片方を私に渡しながら

「愛璃、なんか悩み事?」


って……


びっくりした私は、目をまん丸くして

「何で分かるの?」

って聞いた。



優はクスッと笑って

「耳たぶ触ってるから。愛璃は、何か考え事してる時はいつも触ってるんだよ」


そう言って近くのベンチにエスコートしてくれる。


恐るべし幼なじみ……


優はベンチに着くと、さり気なくイスの汚れを払ってくれた。


そんなさり気ない優しさが、好き。


そして、嫌い。



私は平常心を保ってベンチに座った。

クレープを食べる優の横顔は、本当に綺麗でいつも一緒に居る私でも見とれちゃう。


そんな私に気づいた優は

「見るなよ!!」

って私の頭に手を乗っけてくる。



やっぱり、こんな関係が良いのかなって思っちゃう瞬間かな。