結局、風邪が完治するまで、
三週間近くかかって
しまった圭吾は、
一階ロビーの公衆電話で、
千依に電話をかけていた。

『…もしもし?』と、
千依の怪訝そうな声。

きっと発信者の名前が
公衆電話だったから、
怪しんでいるのだろう。

「あ、ごめん…僕。
ここ、携帯無理だから。
今、仕事してる?」

『ううん、今日はお休み。』

「そっか。」

『圭ちゃん、
風邪引いたんだって?
大丈夫?』

「もう治ったから大丈夫だよ。
ただ、詳しい検査とか
あるから入院してる。」

これはちょっとだけ嘘。

『そうなんだ。
…今から行って良い?』

「いいよ。」

『じゃあ、準備して行くね。
待ってて。』

「解った。」

そんな会話をして電話を切り、
圭吾は病室に入って
千依を待った。