その会話から少しした頃だった。

突然、圭吾が苦しみ出し、
前のめりになった。

「…っ!?」

幸いにもすぐに隣に居た
翔吾が気づいてくれた。

「おい、大丈夫か?」

「はぁ…はぁ…苦し…
はぁ…翔吾…薬取って…っ!」

「解った解った。ちょい待ち。」

翔吾は薬をバッグから
取り出すと、
圭吾をもたれさせて
楽な体勢にさせてから
薬を飲ませた。

「はぁ…はぁ…
やだ、こっち、見てる…」

「は?」

翔吾が顔を上げると、
いつの間にか人だかりが
出来ている。

「おい、翔吾。
どうしたんだよ、圭吾の奴。」

質問されても
答える事は出来ない。

「ちょっと黙ってろ。
あとで説明するから。」

そうピシャリと言って、
周りを黙らせる。

「はー…はー…
目立ちたくない…」

圭吾は肩をゆっくり
上下させながら
呼吸を整えてそう言うと、
目を閉じた。

「ちっ…しゃあねぇな。
別の場所行くか。」

翔吾は落ち着いた
圭吾を抱えると、
障子を器用に足で開け、
ロビーへ向かった。