退院の日。

この日ばかりは
普段来れない父親も、
仕事を休んで来てくれた。

見舞いに来れないのは、
何も仕事が忙しいだけじゃない。

圭吾に会いに行く
時間があったら、
その分働いて入院費を
稼ぐ方が正しいと
思って来たのだ。

それが逆に圭吾を
悲しませているとは
思っていなかった。

だから、今度退院してきたら、
圭吾とたくさん
話をしようと思っていた。

なのに言葉が出てこない。

それは圭吾も同じだった。

お互いにきっかけが
掴めないだけだった。

しばらくすると少しずつ
車の中で話せるように
なってきた。

圭吾は嬉しかった。

そして、思った。

(親子って、不思議だ。)と。