千依は続けた。

「お母さんには
本当に感謝してる。
だから、今バイトして
お金貯めてお返ししよう
かなって考えてるんだ。」

「そっか…えらいね、千依は。」

「ううん、全然まだまだだよ。
…私、最近よく思う事があるの。
あの時、心中が失敗して
良かったな、
生きてて良かったなって。
…結果的にお父さんは
死んじゃったけど、
一生借金取りから
逃げる人生よりは
良かったのかなって…。
不謹慎だよね、
こんな事思うなんて。」

「仕方ないよ。
そうなった事は
変えられないんだから。
それに、そう思ってしまうのは
お父さんの事恨まずに
今でも大切に
思ってる証拠だよ。」

「…そうだね。ありがと。」

千依は少しだけ笑った。