圭吾はクマ先生と車に乗り込み、
双葉町へ出発した。

会える事が約束された
訳ではないし、
探す作業も残っているから、
あまり手放しでは喜べない。

けれど圭吾はそういう事を
特に気にせずに、
ただワクワクしていた。

あまりにワクワクしていて、
クマ先生に注意された程だった。

「お前、浮かれるの早すぎ。
あんまりはしゃぐなよ。
今までの苦労が水の泡だろ。」

「解ってるよ…解ってるけど、
気持ちが落ち着かないんだ。
だって、探し続けた人の
行方が解るかもしれないのに、
喜ばずにはいられないよ。」

「まだ早いさ。
双葉と言っても広いんだ。
地道に探そう。」

「…解った。」

車は住宅街に入った。

人が居そうな場所を探して
聞き込みをするのだという。

長い1日が始まろうとしている。