一方、クマ先生は、
圭吾の父親が経営する
喫茶店に居た。

圭吾の一時外出の
許可をもらう為だ。

普通は逆で、
親が医師に頼む
パターンが多いが、
今回は医師が親に
許可を得る形になった。

「それは構いませんが、
外出しても大丈夫なんですか?」

「俺がついてますから、
安心して下さい。
それに、今あいつは
一生懸命頑張ってますよ。
俺が外出出来るように
体調を整えろと言ったから。
よほど会いたいらしい。」

「それはそうですよ。
この数年間、あの子が
どれだけ必死になって
千依ちゃんを探したか。
それでも見つからないのだから、
彼女はどこへ
行ったんでしょうね?」

「さぁ…それは解りませんな。
双葉辺りに居ればいいんだが。」

クマ先生はそう言って、
この店自慢の珈琲を啜った。