父親は悩んでいた。

彼女を幸せにして
あげる事と、彼女の命。

天秤にかけても
彼女の命の方が重い。

ましてや双子が無事に
産まれたとしても、
彼女が死んでしまえば、
1人で2人を
抱えなければならない。

当時の父親はまだ大学生の身。

大事な娘さんを
身籠らせてしまった責任と、
選択によって彼女を
もし亡くした時に、
彼女の両親に
どう言えばいいのか、
どう謝ればいいのか解らず、
毎日その事がぐるぐる
頭の中を回り、
苦しかったという。