数日が経った。

治療の甲斐あってか、
熱も下がり、
咳も出なくなってきた。

ただ、また検査を
しなければならないので、
もう少し入院する事になった。

この日は千依に会った。

「気分、どう?」

「今はだいぶいいよ。
咳も熱も出てないし…。」

「そっか。良かった。
私、圭ちゃんが入院した時、
本当に不安になった。
いつか本当に私の前から
姿を消してしまうん
じゃないかって…怖かった。」

「そっか…ごめんな。
いつも千依を不安にさせてる。」

「ううん、私は大丈夫。
こっちこそ弱音吐いてごめん。
一番大変なのは
圭ちゃんなのに。」

「いいよ、弱音吐いて
すっきりさせて。
モヤモヤ抱えたまんま、
元気無い顔見せて
ほしくないから。」

「圭ちゃん…。」

「僕の前では嘘を
つかないで欲しい。
泣いてもいいから、
自分の不安も嫌な事も
全部僕にぶつけてくれ。
ちゃんと受け止めるから。」

「…ありがとう。」

千依の目にはうっすら
涙が溜まっていた。

圭吾はそのまま千依を
抱き締めて泣かせた。